112A62

52歳の男性。両側の肺腫瘤を指摘されて来院した。2年前にS状結腸癌のため他院で手術を受けており、2日前に経過観察のため行われた胸部CTで肺野に結節影が認められたため紹介されて受診した。喫煙は20本/日を23年間。意識は清明。身長175cm、体重90kg。体温36.8℃。脈拍92/分、整。血圧132/82mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98% (room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 14.3g/dL、Ht 44%、白血球6,500、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.3g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 19U/L、ALT 40U/L、LD 124U/L(基準176〜353)、クレアチニン0.7mg/dL、Na 144mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 110mEq/L、CEA 6.5ng/mL(基準5.0以下)。CRP 0.1mg/dL。呼吸機能所見:VC 4.57L、%VC 120%、FEV1 3.81L、FEV1% 84%。心電図に異常を認めない。肺野条件の胸部CTを別に示す。S状結腸に再発はなく、全身検索でも胸部CTで確認された病変以外に異常を認めなかった。

治療として最も適切なのはどれか。

放射線化学療法
抗癌化学療法
放射線療法
手術療法
免疫療法

解答: d

112A62の解説

中年男性の両側性肺腫瘤。2年前のS状結腸癌の手術歴からして、肺転移(再発)を疑っていくこととなる。CEAが高値であることもその根拠となろう。画像では右上葉と左上葉とに直径1cm程度の小さな結節影がみられる。
a〜e 大腸癌の肺(or 肝)転移の手術適応をまとめておこう。(1) 手術に耐用可能、(2) 原発巣が制御済 or 制御可能、(3) 転移巣を遺残なく切除可能、(4) 肺(or 肝)外の転移がない or 制御可能、(5) 術後の十分な肺(or肝)機能残存が見込める。本症例ではすべて満たすため、dが正しい。両葉にあっても、サイズ的に切除可能かつ十分な術後の機能残存が見込めると判断される。

正答率:34%

テーマ:S状結腸癌・肺転移への治療

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