112A63

57歳の男性。食欲不振と肝機能障害のために入院中である。20歳台から連日日本酒3合を飲んでいたが、仕事に支障をきたすことはなかった。3年前から飲酒量がさらに増加し、毎日5合以上飲むようになった。1週間前から全身倦怠感を自覚し、仕事を休み始めた。それでも飲酒を続けていたが、3日前に著しい食欲不振で食事を摂れなくなったため外来受診し、血液検査で肝機能障害が認められて入院することになった。入院時から夜間不眠があり、入院2日目から落ち着きなく歩き回り、夜間には「動物が壁を這っている」と訴えて不穏になった。このとき手指の粗大な振戦および著明な発汗がみられ、自分が入院していることが分からない様子であった。入院時の頭部CTで異常を認めなかった。

まず投与すべき薬剤として適切なのはどれか。2つ選べ。

抗酒薬
ジアゼパム
ビタミンB群
イミプラミン
レボドパ〈L-dopa〉

解答: b,c

112A63の解説

中年男性の食欲不振と肝機能障害。華々しい飲酒歴があり、仕事への支障も出ている。アルコール依存症だ。この患者が入院するという。嫌な予感がするが、的中し、夜間に小動物幻視などアルコール離脱振戦せん妄が出現している。
a 振戦せん妄の真っ只中に使う薬剤ではない。断酒目的に平常時に使う。
b 正しい。ベンゾジアゼピン系の薬剤であり、アルコール離脱症状に有用。
c 正しい。アルコール依存症患者ではビタミンB1の欠乏が予想され、Wernicke脳症の予防に用いる。
d 三環系の抗うつ薬。うつ病に用いる。
e Parkinson病の治療薬。

正答率:86%

テーマ:アルコール離脱振戦せん妄に投与すべき薬剤

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