112A46

60歳の女性。関節痛を主訴に来院した。2週間前に38℃台の発熱が出現したが、自宅近くの医療機関で解熱薬を処方され、数日で解熱した。1週間前に手指、手関節を中心とした多発関節痛が出現し、持続するため受診した。3週間前に同居している5歳の孫に発熱と顔面紅斑が出現していたという。体温36.5℃。脈拍76/分、整。血圧128/76mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。両手関節に圧痛を認める。尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球320万、Hb 9.8g/dL、Ht 31%、白血球2,900(桿状核好中球10%、分葉核好中球57%、好酸球2%、好塩基球1%、単球3%、リンパ球27%)、血小板12万。血液生化学所見:AST 68U/L、ALT 72U/L、γ-GTP 98U/L(基準8〜50)。免疫血清学所見:CRP 0.5mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体40倍(基準20以下)、CH50 25U/mL(基準30〜40)、C3 45mg/dL(基準52〜112)、C4 12mg/dL(基準16〜51)。

診断のために追加して聴取すべき情報として最も重要なのはどれか。

職業歴
難聴の有無
孫の臨床経過
解熱薬の種類
陰部潰瘍の有無

解答: c

112A46の解説

高齢女性の関節痛。同居している孫に伝染性紅斑と思われる皮疹が出現していたという情報から、ヒトパルボウイルスB19が関連するのではないか、と考えたい。汎血球減少、抗核抗体陽性、補体低下、から想起される病態は全身性エリテマトーデス〈SLE〉だ。実はヒトパルボウイルスB19の成人感染例ではSLE類似の病態がみられることがある。とはいえ、この事実を知っていなくても正答に至ることはできよう。
a・b・d・e ヒトパルボウイルスB19感染によるSLE様症状と関係のない情報である。
c 正しい。孫の臨床経過(四肢のレース状皮疹は出ていないか、など)を聴取し、伝染性紅斑であることを担保したい。

正答率:65%

テーマ:ヒトパルボウイルスB19感染により惹起されたSLE様症状

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