112A45

79歳の男性。胸部エックス線写真の異常陰影を指摘されて来院した。精査のために行った胸腹部造影3D-CTを別に示す。

この疾患に対する手術に際し、最も注意すべき合併症はどれか。

髄膜炎
脊髄梗塞
正常圧水頭症
胸郭出口症候群
急性硬膜下血腫

解答: b

112A45の解説

胸部異常陰影を指摘された79歳男性。下行大動脈に巨大な瘤を認め、大動脈瘤の診断となる。血管径による手術適応は細かなものがガイドライン等で定められるが、そこまで求めた問題ではあるまい。これほどの大きさのものであれば手術適応となることは明らかであり、人工血管置換術を行う。
a 脊髄は触らないので髄膜炎は起こしえない。
b 正しい。下行大動脈からは脊髄動脈が分岐しており、そこを閉塞させることにより生じる可能性がある。対麻痺をきたし、ADLを低下させかねない重要な合併症である。
c 正常圧水頭症は頭蓋内病変によって起こることが多く、大動脈瘤の手術からは生じない。
d 胸郭出口において神経や血管を圧迫することによって起こる上肢のしびれや疼痛などの総称である。上肢への血管は触らないので起こしえない。
e 急性硬膜下血腫は頭部外傷に伴って生じるため、下行大動脈の手術では起こしえない。

正答率:97%

テーマ:大動脈瘤の手術に際し注意すべき合併症

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし