111I53

66歳の女性。2週間前から息切れと動悸があり来院した。生来健康でこれまでに貧血を指摘されたことはなく、不正性器出血はない。眼瞼結膜は強度貧血様である。眼球結膜に黄染を認める。肝を触知せず、脾を左季肋下に3cm触知する。尿所見:蛋白1+、ウロビリノゲン3+、潜血(−)、へモジデリン(−)。血液所見:赤血球170万、Hb 5.5g/dL、Ht 17%、網赤血球15%、白血球7,200、血小板26万。血液生化学所見:総ビリルビン3.2mg/dL、直接ビリルビン0.8mg/dL、AST 20U/L、ALT 18U/L、LD 684U/L(基準176〜353)、ハプトグロビン5mg/dL以下(基準19〜170)、フェリチン46ng/mL(基準20〜120)。

この患者の鑑別診断に有用な検査はどれか。

骨髄検査
血清鉄検査
Coombs試験
血清免疫電気泳動
赤血球浸透圧抵抗試験

解答: c

111I53の解説

高齢女性の貧血。尿中ウロビリノゲンの強陽性、網赤血球数の増加、間接ビリルビンの上昇、LDの上昇、ハプトグロビンの低下、などは溶血を疑わせる所見。脾腫の存在からは血管外溶血を考えよう。疫学的には自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉が最も考えやすい。
a 骨髄で異常がみられる病態に有効。
b フェリチンは基準値内であり、血清鉄に異常がみられる可能性は低い。
c 正しい。II型アレルギーの側面を確認する試験であり、AIHAの鑑別に有用。
d 多発性骨髄腫〈MM〉など血漿中の蛋白が増加する病態に有効。
e 遺伝性球状赤血球症〈HS〉に有効。

正答率:90%

テーマ:血管外溶血疾患の鑑別に有用な検査

フォーラムへ投稿

関連トピック