111D58

52歳の女性。就寝中に呼吸が止まるのを夫に指摘されて来院した。3か月前から動悸と昼間の眠気とを感じている。4か月前からうつ病で内服治療中である。喫煙は10本/日を30年間。飲酒はビール1,000mL/日を20年間。身長161cm、体重78kg。脈拍76/分、整。血圧156/104mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。簡易モニター検査後のポリソムノグラフィで無呼吸低呼吸指数は26(基準5未満)、無呼吸の最長持続時間は112秒(基準9未満)、睡眠中のSpO2は最低値77%、平均値96%、いびきの回数は428/時間である。

この患者に対する働きかけとして適切なのはどれか。3つ選べ。

「禁煙しましょう」
「減量手術をしましょう」
「飲酒を制限しましょう」
「仰向けに寝るようにしましょう」
「内服薬の見直しについて相談しましよう」

解答: a,c,e

111D58の解説

配偶者に就寝中の呼吸停止を指摘される典型パターン。睡眠時無呼吸症候群〈SAS〉を疑う。動悸(→心血管系への負荷を示唆)、昼間の眠気、うつ病(→無呼吸による脳への酸素供給低下が原因とされる)、肥満、といった症候も羅列されている。ポリソムノグラフィの所見よりSASの確定となる。
a 正しい。心血管系への負荷を軽減させるため、禁煙が推奨される。
b 減量は重要だが、初診の現段階でいきなり手術を勧めるのは飛躍がある。
c 正しい。飲酒により睡眠時の気流が低下しやすくなるため、禁酒・節酒が推奨される。
d 仰臥位で寝ると舌根が沈下し、気流が低下しやすくなる。側臥位での就寝が推奨される。
e 正しい。抗うつ薬のなかには睡眠時無呼吸の病態を増悪させるものも存在する。

正答率:84%

テーマ:睡眠時無呼吸症候群〈SAS〉に対する働きかけ

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