111A48

61歳の女性。腹痛を主訴に来院した。1日前から上腹部の鈍痛を自覚し、次第に増悪してきたため受診した。腹痛は持続性であり、心窩部から臍周囲まで広範囲に認め、限局していないがやや右側に強い。悪心はあるが嘔吐はない。体温37.4℃。脈拍72/分、整。血圧120/72mmHg。呼吸数16/分。同部位に圧痛と軽度の反跳痛を認めるが筋性防御を認めない。便は軟便であるが水様下痢ではなく、血液は混じっていない。腸雑音はやや低下し、金属音は聴取しない。血液所見:赤血球432万、Hb 13.1g/dL、Ht 39%、白血球15,500(桿状核好中球32%、分葉核好中球58%、好酸球1%、好塩基球1%、リンパ球8%)、血小板29万。血液生化学所見:尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。CRP 5.7mg/dL。腹部超音波検査で肝臓と胆嚢とに異常を認めない。腹部CTの水平断像(A)と冠状断像(B)とを別に示す。

治療として適切なのはどれか。

抗菌薬投与
大腸切除術
虫垂切除術
イレウス管による減圧術
体外衝撃波結石破砕術〈ESWL〉

解答: a

111A48の解説

高齢女性の腹痛。高度な腹膜炎には至っていなそうだが、白血球数やCRPをみる限り炎症は存在するようだ。A, Bにて憩室と思しき構造が高吸収域を呈している(本画像は単純CTであることに注意!)。憩室炎の診断。
a 正しい。炎症反応があり、細菌感染が考えやすい。抗菌薬が有効。
b 汎発性腹膜炎や悪性腫瘍を考えた際に行う。
c 虫垂炎を考えた際に行う。
d 腸閉塞を考えた際に行う。
e 胆嚢内結石や尿路結石を考えた際に行う。

正答率:70%

テーマ:憩室炎の治療

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