111A35

69歳の女性。呼吸困難と胸痛とを主訴に来院した。1時間前から突然、呼吸困難と胸痛が出現した。様子をみていたが、30分以上症状が軽快しないため来院した。既往歴に特記すべきことはない。自宅の修繕のため、ここ数日は夜間に自家用車の中で睡眠をとっていた。身長155cm、体重76kg。体温36.0℃。脈拍104/分、整。血圧110/80mmHg。呼吸数22/分。SpO2 91%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部に圧痛を認めない。症状の呼吸性変動を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。心電図で洞性頻脈を認めるが他に異常を認めない。

この患者の診断に有用性が低いのはどれか。

DLco
心エコー
Dダイマー
胸部造影CT
動脈血ガス分析

解答: a

111A35の解説

ここ数日、夜間に自家用車の中で睡眠をとっていたという高齢女性。突然の呼吸困難と胸痛とから、肺血栓塞栓症を疑う。
a 誤り。血栓の存在により、換気血流比の不均等を呈する。しかしながら、拡散障害は呈さないため、DLcoの測定は有用性が低い。
b 右心負荷所見がみられる。
c 血栓の存在により上昇する。
d 肺動脈内の血栓が描出される。
e PaO2の低下と、過換気による代償でPaCO2の低下がみられる。これにより呼吸性アルカローシスが示される。AaDO2の開大もみる。

正答率:62%

テーマ:肺血栓塞栓症〈PE〉の診断に有用な指標

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