111A36

62歳の男性。全身倦怠感と下腿浮腫とを主訴に来院した。半年前から症状を自覚していた。自宅近くの医療機関を受診したところ、高血圧症と耐糖能異常とを指摘され、カルシウム拮抗薬と利尿薬とを処方された。しかし、血圧も症状も改善しなかったため、ホルモン異常を疑われて紹介されて受診した。身長174cm、体重81kg。血圧152/90mmHg。下腿には浮腫があり近位筋優位の筋力低下を認める。血液生化学所見:血糖184mg/dL、HbA1c 6.5%(基準4.6〜6.2)、ACTH 140.4pg/mL(基準60以下)、コルチゾール39.8μg/dL(基準5.2〜12.6)。

この患者について正しいのはどれか。

病変は頭蓋内と確定できる。
MRIで責任病巣が確定できる。
早朝空腹時のホルモン測定を繰り返す。
尿中遊離コルチゾール定量で総分泌量を把握する。
CRH負荷に対してACTHが反応しないことが特徴である。

解答: d

111A36の解説

ホルモン異常を疑われて受診しているため、丁寧に検査データを追っておくこととなる。ACTH高値、コルチゾール高値よりCushing症候群が考えられる。
a・e ACTH高値型のCushing症候群には下垂体由来のものと、異所性のものとがある。ゆえに選択肢のようには言い切れない。
b 目に見えないくらい小さな責任病巣からのACTH分泌の可能性もあり、MRIで確定できるとは断言できない。
c ホルモン測定を行うのはよいが、早朝空腹時に繰り返す意義には乏しい。
d 正しい。尿中遊離コルチゾールは1日あたりの血中へのコルチゾール総分泌量を反映するため、有用な指標と言える。

正答率:31%

テーマ:Cushing症候群(ACTH高値型)について

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