110A50

67歳の男性。全身倦怠感と微熱とを主訴に来院した。1か月前から全身倦怠感を自覚し、1週前から37℃台前半の微熱が持続していた。数日前から、歯肉からの出血もみられた。体温37.4℃。眼瞼結膜は貧血様だが眼球結膜に黄染を認めない。口腔粘膜に点状出血と咽頭に軽度の発赤とを認める。表在リンパ節は触知しない。心基部を最強点とするII/VIの収縮期駆出性雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾は触知しない。両側下腿に紫斑を認める。血液所見:赤血球157万、Hb 5.7g/dL、Ht 15%、網赤血球0.3%、白血球1,800(桿状核好中球5%、分葉核好中球13%、好酸球3%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球72%)、血小板1.3万、PT 99%(基準80〜120)、APTT 29秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン 286mg/dL(基準200〜400)、血清FDP 10μg/mL以下(基準10以下)。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.2g/dL、ハプトグロビン74mg/dL(基準19〜170)、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 28U/L、ALT 22U/L、LD 237U/L(基準176〜353)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸3.6mg/dL、Fe 325μg/dL。CRP 1.3mg/dL。骨髄生検のH-E染色標本(A、B)を別に示す。
対応として最も適切なのはどれか。
経過観察
同種造血幹細胞移植
蛋白同化ホルモンの投与
エリスロポエチン製剤の投与
シクロスポリンと抗胸腺細胞グロブリン〈ATG〉の併用療法

解答: e

110A50の解説

汎血球減少とそれに伴う諸症状がみられている(貧血、出血傾向、感染疑い)。画像A, Bでは骨髄の脂肪化があり、再生不良性貧血〈AA〉の診断となる。網赤血球(4,710)<4万、200<好中球(324)<500、血小板(1.3万)<2万より重症AAと判定される。
a 症状は強く、経過観察はできない。
b 40歳以上であるため、適応とならない。
c・d 軽症AAでは考慮される。
e 正しい。重症AAの治療法である。
103A29の類題。

正答率:75%

テーマ:再生不良性貧血〈AA〉の対応

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