110A40

50歳の男性。喀痰と膿性痰とを主訴に来院した。3年前から咳嗽と喀痰とを自覚していたが医療機関を受診していなかった。6か月前から痰の性状が黄色となり、最近になって量も増加してきたため受診した。喫煙歴はない。体温36.3℃。脈拍68/分、整。血圧118/76mmHg。呼吸数16/分。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:白血球6,200(桿状核好中球6%、分葉核好中球50%、好酸球1%、単球7%、リンパ球36%)。CRP 0.1mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 36Torr、PaO2 81Torr、HCO3- 22mEq/L。喀痰培養でムコイド型の緑膿菌が検出された。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部CT(B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
β2剌激薬の吸入
抗コリン薬の吸入
副腎皮質ステロイドの内服
カルバペネム系薬の点滴静注
14員環マクロライド系薬の内服

解答: e

110A40の解説

3年間持続する気道の炎症。これにより菌交代現象が起こり、喀痰培養ではムコイド型の緑膿菌が検出されている。画像A, Bではびまん性の粒状影がみられ、画像Bでは気管支拡張症も伴っている。びまん性汎細気管支炎〈DPB〉の診断。
a・b 気管支拡張作用があり、閉塞症状の緩和には有効であるが、本患者の主訴は呼吸困難ではない。
c 喘息や慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪に有効。
d 緑膿菌感染と思ってしまった受験生が選ぶ選択肢。106A33でも登場しているひっかけであり、惑わされてはならない。
e 正しい。DPBの治療である。
※最終診断を「気管支拡張症」としている解説書もあるが、それは画像Bの所見を形容したに過ぎない。本問は106A33のプール問題であり、診断はDPBが正しい。

正答率:52%

テーマ:びまん性汎細気管支炎〈DPB〉/気管支拡張症の治療

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