109I79

58歳の男性。胸痛を主訴に来院した。1週前、プールで水泳中に締め付けられるような胸痛を初めて自覚した。痛みは数分で消失した。昨日の夕食後に同様の強い症状が出現し、約1時間で改善したためそのまま入眠した。今朝になって心配した家族に連れられて受診した。喫煙は20本/日を38年間。糖尿病にて食事指導と運動指導とを受けている。意識は清明。身長160cm、体重59kg。体温36.3℃。脈拍96/分、整。血圧150/84mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球430万、Hb 14.0g/dL、Ht 36%、白血球6,200、血小板22万。血液生化学所見:心筋トロポニンT陽性、CK 239U/L(基準30〜140)、CK-MB 23U/L(基準20以下)。胸部エックス線写真で異常を認めない。心電図(A)と冠動脈造影像(B、C)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。3つ選べ
硝酸薬投与
冠動脈バイパス術
ヘパリンの持続静注
経皮的心肺補助〈PCPS〉の実施
t-PA〈tissue plasminogen activator〉の静脈内投与

解答: a,b,c

109I79の解説

高齢男性の胸痛。画像Bにて右冠動脈に異常はみられず、画像Cにて左冠動脈主幹部〈LMT〉に高度狭窄がみられる。心電図(画像A)では、異常Q波(QSパターン)と冠性T波がみられている。CK上昇もあり、少し時間の経った心筋梗塞〈MI〉(または急性冠症候群〈ACS〉)に矛盾しない。1週前のプールでのエピソードで閉塞した冠動脈が再開通し、昨日に再度閉塞したのだろう。
a 正しい。冠拡張薬である。
b 正しい。LMT病変であり、バイパス術が有効。
c 正しい。抗凝固薬である。
d PCPSは心原性ショック時に有効だが、この患者はそこまで状態が悪いわけではない。
e 血栓溶解薬であり、発症6時間以内に有効。

正答率:81%

テーマ:亜急性期心筋梗塞の治療

フォーラムへ投稿

関連トピック