a すでに超音波検査より細部まで分かるCTが実施されているため、診断のために実施する意味はない。
b 原発性アルドステロン症で左右それぞれの副腎からどれだけのアルドステロン分泌があるか、をみる検査。現状、アルドステロンは基準値上限にあるも、レニン活性は抑制されておらず、原発性アルドステロン症は否定的。そもそも、104A60-fで出題があるように、原発性アルドステロン症は小さいため、偶発的に発見されることが稀。
c これも原発性アルドステロン症の検査。
d 正しい。Cushing病であれば抑制があるが、副腎腫瘍であれば視床下部〜下垂体の支配から外れた自律性のコルチゾール分泌があるため、抑制がみられない。
e 正しい。Cushing症候群の検査の1つである。
極論を言ってしまうと、すでにCTを実施した後に診断のために超音波検査をすることはありえず、aは論外。原発性アルドステロン症を疑うならb・cが正解のはずで、Cushing症候群を疑うならd・eが正解となるはずだ。上記にもあるように、原発性アルドステロン症が偶発的に発見されることはレアであり、今回のように大きな腫瘍であればCushing症候群を考えたいため、dとeは選べる。104A60をやっていれば、診断まで至らなくても正答には至る問題。
いずれにせよ、I78という、最後の最後でここまでの強力なパンチのある問題を出してくる、というのは受験生に酷である。
【参考】
99F38に以下のような出題がある。このときはコルチゾールの値を基準値オーバーに設定してくれているため、ありがたかった。
35歳の女性。人間ドックで右副腎部に径1.5cmの腫瘤を指摘されて来院した。身長162cm、体重58kg。脈拍76/分、整。血圧126/78mmHg。血液所見:赤血球400万、Hb 13.0g/dl、Ht 40%、白血球7,000。血清生化学所見:空腹時血糖96mg/dl、Na 142mEq/l、K 3.8mEq/l、Cl 102mEq/l。コルチゾール18.5μg/dl(基準5.2〜12.6)、アルドステロン8.2ng/dl(基準5〜10)、血漿レニン活性2.1ng/ml/時間(基準1.2〜2.5)。
次に行う検査はどれか。
a インスリン負荷試験
b アルギニン負荷試験
c メトピロン負荷試験
d デキサメサゾン抑制試験
e フロセミド負荷試験
正答率:45%
テーマ:subclinical cushing症候群の診断に有用な検査