109D31

18歳の女性。胸痛と息苦しさとを主訴に搬入された。1時間前、咳をした後に右胸痛と呼吸困難とが出現し次第に増悪したため救急搬送された。身長162cm、体重48kg。体温36.5℃。心拍数108/分、整。血圧84/48mmHg。呼吸数18/分。SpO2 95%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。眼瞼結膜は貧血様である。心音に異常を認めない。呼吸音は右で減弱している。血液所見:赤血球290万、Hb 9.5g/dL、Ht 29%、白血球10,690、血小板19万。ポータブル胸部エックス線写真を別に示す。補液を開始し胸腔ドレナージを施行したところ、血性排液1,200mLがあり持続的に空気漏がみられた。ドレナージ2時間後、胸腔ドレナージ排液は血性で1時間200mLの排液と空気漏とは持続しており、SpO2 99%(マスク8L/分 酸素投与下)であった。この時点で末梢血液所見は赤血球245万、Hb 7.5g/dL、Ht 24%、白血球12,600、血小板18万であった。心拍数120/分、整。血圧70/40mmHgで赤血球輸液を開始した。
この時点で行うべき対応はどれか。
経過観察する。
昇圧薬を投与する。
直ちに外科手術を行う。
副腎皮質ステロイドを投与する。
胸腔ドレーンを1本追加で挿入する。

解答: c

109D31の解説

「血性排液」「空気漏」より、血気胸を疑う。エックス線でも右肺の虚脱と下部の水平線(液体貯留を示唆)がみてとれる。出来る限りの対症療法はやった、という印象だが、状態は依然として悪い。
a 血圧低下は続いており、経過観察では命を失いかねない。
b 循環血液量減少性ショックにて昇圧薬(心収縮力をupさせる)を投与しても、いわゆる「空打ち」状態となり意味がない。
c 正しい。上記の通り。緊急手術を行い、止血を試みるべきである。
d 炎症緩和の効果があるも、出血持続には無効。
e ドレナージが足りていないわけではない。ドレーンを追加しても、出血を止めることはできない。

正答率:73%

テーマ:血気胸への対応

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