108E59

32歳の女性。健康診断で右水腎症を指摘され精査目的に来院した。10年前から数か月に1回右背部に軽い鈍痛を自覚していたが、20分程度安静にしていると軽快していた。右肋骨脊柱角に軽度の叩打痛を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血1+、沈渣に赤血球1~4/1視野、白血球1~5/1視野。血液所見:赤血球432万、Hb 13.6g/dL、Ht 43%、白血球6,900、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.3g/dL、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸5.8mg/dL、Na 134mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 0.1mg/dL。腹部エックス線写真で尿路結石像を認めなかった。腹部超音波像を別に示す。
診断のために有用なのはどれか。2つ選べ
PET/CT
腹部単純MRI
逆行性尿路造影
腎シンチグラフィ
カラードプラ腹部超音波検査

解答: b,c

108E59の解説

難問。若い女性の水腎症であり、10年前から症状があるとのことで、何かしらの先天的な疾患を考えたい。腹部超音波像にて腎杯と腎外腎盂の拡張があり、腎盂尿管移行部に狭窄像がみられる。先天的に尿管の走行に異常があると、成長に伴い周囲の構造物(血管や臓器など)により尿管が圧迫され、水腎症を呈することがある。それを検出できる画像検査を選択すればよい。
a 悪性腫瘍を考えた場合。若年者であり、考えにくい。
b 正しい。MRIにて尿路を描出できる。
c 正しい。逆行性に尿路に造影剤を注ぐことにより、尿管の閉塞部位を同定できる。
d 腎シンチグラフィでは腎の機能や形態が分かるも、閉塞部位やその原因までの精査は不可能。「診断のため」という設問である以上、診断に直結しない検査は選べない。
e カラードプラ腹部超音波検査は血管の評価に有用であるが、尿流の評価はできない。

正答率:56%

テーマ:腎盂尿管移行部狭窄の診断に有用な検査

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