108I52

26歳の男性。歩行困難を主訴に来院した。痙性歩行、上下肢腱反射亢進およびBabinski徴候陽性を認める。頭部単純MRIのT2強調水平断像(A、B)、Aと同一断面の頭部造影MRIのT1強調水平断像(C)及び頸椎単純MRIのT2強調矢状断像(D)を別に示す。血清の抗アクアポリン4抗体は陰性である。
最も考えられるのはどれか。
神経膠腫
転移性腫瘍
視神経脊髄炎
多発性硬化症
進行性多巣性白質脳症

解答: d

108I52の解説

102I48の改変問題。特徴的な画像が4枚も提示されている問題であり、受験生の過去問対策は万全だったようだ。正答率は高い。
画像A, B, Dでは脱髄巣を複数指摘できる(空間的多発)。画像Cは画像Aと同一断面の造影画像であるが、造影される脱髄巣とされない脱髄巣が混在している(時間的多発)。以上より、多発性硬化症〈MS〉の診断となる。
102回からの変更点として、ガイドラインに視神経脊髄炎〈NMO〉が追加されたことを受け、「血清の抗アクアポリン4抗体は陰性」という注意書きがついた。が、特にこの記載がなくとも、画像Dで脱髄巣が2椎体未満の長さであるためNMOは否定できる。
a 神経膠腫はここまで多発しない。
b 転移性腫瘍では造影される腫瘍とされない腫瘍が混在することはない。
c NMOでは抗アクアポリン4抗体が陽性となり、3椎体以上にまたがる脱髄巣がみられる。
d 正しい。上記の通り。
e 進行性多巣性白質脳症は免疫低下の患者にみられる。また、造影効果に乏しい。

正答率:88%

テーマ:多発性硬化症〈MS〉の診断

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