108G53

35歳の初妊婦。妊娠40週4日。陣痛発来のため入院した。妊娠39週時の妊婦健康診査では胎児推定体重は2,450gで、羊水ポケットは3cmと測定された。身長161cm、体重61kg(非妊時52kg)。内診所見は、児頭は骨盤入口部にあり、展退度50%、子宮口は3cm開大、頸管の硬度はやや軟、児頭下降度SP-2cm。その他に異常所見を認めない。陣痛はほぼ10分周期である。その後、陣痛は次第に増強し、入院後7時間経過した時点で破水し、羊水混濁を認めた。内診所見は子宮口は10cm開大、児頭下降度SP+1cmとなった。その時の胎児心拍数陣痛図(A)と、さらに30分後の胎児心拍数陣痛図(B)とを別に示す。内診所見は児頭下降度SP+3cmで、矢状縫合は骨盤前後径に一致し小泉門を恥骨後面に触れる。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
吸引分娩
体位変換
帝王切開術
子宮収縮抑制薬投与

解答: b

108G53の解説

妊娠40週4日で陣痛発来しており、正期産である。途中まで進行は順調であったが、破水した際に羊水混濁が出現したあたりから雲行きが怪しくなる。画像Aにて遅発一過性徐脈を、画像Bにて遷延一過性徐脈を指摘でき、胎児機能不全〈NRFS〉の診断となる。
a NRFS時の経過観察は不可。
b 正しい。子宮口は全開大であり、SP+3と下降もよい。吸引分娩が有効。
c 臍帯圧迫による変動一過性徐脈がみられた場合には考慮するも、現段階では体位変換を試みている余裕はない。
d 吸引分娩が適応となる以上、帝王切開は不要。
e NRFSと診断されているため、これ以上胎内に留めておくのは望ましくない。

正答率:71%

テーマ:遅発一過性徐脈を呈する妊婦への対応

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