108D52

68歳の男性。動悸と易疲労感とを主訴に来院した。身長165cm、体重63kg。体温36.5℃。脈拍92/分、整。血圧122/68mmHg。皮膚は灰褐色で眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。頸部、腋窩および鼠径部の表在リンパ節は触知しない。胸骨左縁第2肋間にII/VIの収縮期雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫や紫斑を認めない。血液所見:赤血球233万、Hb 7.1g/dL、Ht 20%、網赤血球0%、白血球9,400(桿状核好中球6%、分葉核好中球54%、単球3%、リンパ球37%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、AST 56U/L、ALT 71U/L、LD 438U/L(基準176~353)、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖98mg/dL、Fe 234μg/dL(基準59~161)、不飽和鉄結合能〈UIBC〉67μg/dL(基準163~251)。骨髄は正形成で巨核球を散見する。胸部エックス線写真(A)、胸部CT(B)及び骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(C)を別に示す。
考えられるのはどれか。2つ選べ
肺癌
胸腺腫
赤芽球癆
溶血性貧血
再生不良性貧血

解答: b,c

108D52の解説

「皮膚は灰褐色で眼瞼結膜は貧血様」とあり、貧血の鑑別を行う。胸骨左縁第2肋間にⅡ/Ⅵの収縮期雑音を聴取しているのは貧血の代償のため。血液所見にて赤血球単独の減少があり(白血球と血小板数は正常)、網赤血球0%より赤血球産生の低下が示唆される。画像Cにて赤芽球を認めないため、赤芽球癆の診断となる。画像A, Bにて前縦隔の腫瘤を認めており、胸腺腫が考えやすい。胸腺腫が原因となった赤芽球癆である。
a 肺癌は画像上、辺縁不整となる。
b・c 正しい。上記の通り。
d 溶血性貧血では網赤血球が増加する。
e 再生不良性貧血では骨髄生検にて低形成を認める。

正答率:79%

テーマ:胸腺腫とそれに合併する赤芽球癆の診断

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