108D51

26歳の初妊婦。妊娠37週。2時間前からの上腹部痛と悪心を主訴に来院した。前回までの妊婦健康診査では特に異常を指摘されていない。意識は清明。身長160cm、体重66kg(非妊時58kg)。体温37.0℃。脈拍72/分、整。血圧146/92mmHg。子宮底長31cm、腹囲95cm。下腿に軽度浮腫を認める。尿所見:蛋白2+、糖(-)。血液所見:赤血球450万、Hb 13.0g/dL、Ht 42%、白血球10,300、血小板7.0万、血漿フィブリノゲン432mg/dL(基準200~400)。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン1.6mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 184U/L、ALT 230U/L、LD 830U/L(基準176~353)、γ-GTP 34U/L(基準8~50)、尿素窒素5.0mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、尿酸6.9mg/dL、血糖96mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 105mEq/L。超音波検査で胎児発育は正常であった。
今後合併に注意すべき病態はどれか。2つ選べ
羊水過多
急性腎不全
妊娠糖尿病
児頭骨盤不均衡〈CPD〉
播種性血管内凝固〈DIC〉

解答: b,e

108D51の解説

妊娠37週と正期産週数にある初産婦が上腹部痛と悪心とを訴えている。血圧146/92mmHg、尿蛋白2+より妊娠高血圧腎症の存在があり、血小板低下、肝酵素上昇もみられている。HELLP症候群を考える。LDが高値なのは溶血があるからかもしれない。
a 妊娠高血圧症候群では通常、羊水過少となる。
b 正しい。HELLP症候群によって多臓器不全をみる。
c 妊娠糖尿病と妊娠高血圧症候群〈HDP〉とは合併しやすいが、本文中で正常血糖値を提示したのはおそらく本肢を×にさせるためであろう。
d 児頭骨盤不均衡〈CPD〉は胎児が大きくなる場合、すなわち過期産児に多い。母の身長も160cmであり、合併しやすいわけではなさそうだ。
e 正しい。HELLP症候群は線溶凝固系異常をきたしやすく、DICの出現は十分にありうる。

正答率:68%

テーマ:妊娠高血圧症候群〈HDP〉の合併症(HELLP症候群)

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし