106D54

27歳の女性。咳と呼吸困難とを主訴に来院した。1週前から前胸部の圧迫感を自覚していた。2日前から息苦しくなり、昨日から咳が出始めた。自宅近くの医療機関を受診したところ、胸部エックス線写真の異常所見を指摘され、精査のために紹介されて受診した。既往歴に特記すべきことはない。体温36.8℃。脈拍96/分、整。血圧110/64mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95%(room air)。口腔内に点状出血斑を認める。眼瞼結膜は貧血様である。呼吸音は左胸部で減弱している。右肋骨弓下に肝を3cm触知する。血液所見:赤血球308万、Hb 9.2g/dL、Ht 28%、白血球24,000、血小板2.2万。胸部エックス線写真(A)、骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(B)及びペルオキシダーゼ染色標本(C)を別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ
アドリアマイシンの投与
胸部放射線照射
全トランス型レチノイン酸の投与
プレドニゾロンの投与
リツキシマブの投与

解答: a,d

106D54の解説

咳と呼吸困難を主訴に来院した27歳女性。血液検査で汎血球減少があり、急性白血病が疑われる。骨髄血塗抹標本では核小体が明瞭なN/Cの高い細胞が増殖しており、急性白血病の診断である。MPOは陰性であり、急性リンパ性白血病〈ALL〉が考えられる。胸部エックス線では左肺野の透過性が低下している。腫瘍の浸潤、胸膜の透過性が亢進したことによる胸水貯留が考えられる。
a 正しい。急性白血病ではアドリアマイシンが用いられる。
b 胸部放射線照射はHodgkinリンパ腫で用いられる。
c 全トランスレチノイン酸は急性前骨髄性白血病で用いられる。
d 正しい。急性リンパ性白血病ではプレドニゾロンが用いられる。
e CD20 抗原陽性ALL患者の化学療法にリツキシマブを追加することで転帰が改善される可能性が示唆されている。しかし、全てのALL患者には用いられるわけではない。

正答率:54%

テーマ:急性リンパ性白血病〈ALL〉の治療

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