106A34

38歳の男性。健康診断で検査値の異常を指摘されて来院した。意識は清明。体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧128/76mmHg。呼吸数14/分。眼球結膜に軽度の黄染を認める。右上腹部に鶏卵大の腫瘤を触知する。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球7,500、血小板38万。血液生化学所見:血糖98mg/dL、総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、IgG 1,610mg/dL(基準960~1,960)、総ビリルビン3.4mg/dL、AST 157U/L、ALT 158U/L、LD 253U/L(基準176~353)、ALP 924U/L(基準115~359)、γ-GTP 307U/L(基準8~50)、アミラーゼ32 U/L(基準37~160)。免疫学所見:CRP 0.5mg/dL。HBs抗原・抗体陰性、HCV抗体陰性。α-フェトプロテイン〈AFP〉12ng/mL(基準20以下)、CEA 6.7ng/mL(基準5以下)、CA19-9 51.3U/mL(基準37以下)。腹部造影CT(A)と内視鏡的逆行性胆管膵管造影写真〈ERCP〉(B)とを別に示す。
診断として最も考えられるのはどれか。
膵癌
胆嚢癌
肝細胞癌
自己免疫性膵炎
十二指腸乳頭部癌

解答: b

106A34の解説

肝機能異常を指摘されて来院した38歳男性。眼瞼結膜に軽度の黄染と右上腹部に鶏卵大の腫瘤を触知することから胆道系の腫瘍性病変を疑う。腫瘍マーカーの上昇もこれを支持する。Aでは胆嚢に腫瘍性病変を認め、Bでは膵胆管合流異常を認める。膵胆管合流異常は胆嚢癌のリスクとなることから若年でも合点がいく。
a 膵頭部に明らかな異常はない。
b 正しい。胆嚢癌を最も考える。
c AFPは基準値内であること、ウイルス抗原・抗体が陰性であることから否定的。
d 自己免疫性膵炎ではIgGの上昇や、膵管の狭細化を認める。
e 十二指腸乳頭部癌ではAにて十二指腸内に腫瘍を認めるはずだ。また閉塞性黄疸も顕著となる可能性が高い。

正答率:51%

テーマ:胆囊癌の診断

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