104I52

41歳の男性。発熱を主訴に来院した。1か月前に左眼の視力低下を認め、自宅近くの診療所で左内頸動脈閉塞症と診断された。1週前から38℃台の発熱、頭痛および全身の紫斑が出現した。また、このころから一過性せん妄を認めるようになった。意識は清明。身長168cm、体重72kg。体温38.6℃。脈拍108/分、整。血圧120/64 mmHg。著明な貧血と四肢を中心にした紫斑を認める。神経学的所見に異常を認めない。血液所見:赤血球194万、Hb 5.4 g/dL、Ht 18%、網赤血球7.5%、白血球9,300(桿状核好中球6%、分葉核好中球58%、好酸球2%、好塩基球1%、単球11%、リンパ球22%)、破砕赤血球+、血小板1.3万、PT 12.0秒(基準10~14)、APTT 30.4秒(基準対照32.2)。血液生化学所見:クレアチニン1.8mg/dL、総ビリルビン2.9mg/dL、直接ビリルビン0.7mg/dL、AST 42U/L、ALT 30U/L、LD 1,852U/L(基準176~353)。頭部単純CTで異常を認めない。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
抗癌化学療法
血漿交換
脾摘
同種末梢血幹細胞移植

解答: c

104I52の解説

左内頸動脈閉塞症からは血管を閉塞する因子の存在を考える。一過性せん妄からは精神神経症状を呈する病態を考える。紫斑の存在、血小板減少などからは1次止血の障害を考える。この段階でも診断には至ってほしいが、本問ではおせっかいながら「破砕赤血球+」との記載あり。血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉の診断だ。
※記載が無い為あくまで推測の域を出ないが、冒頭の内頸動脈閉塞症は実はTTPとは直接関係がなく、これに対して投与された抗血小板薬(チクロピジン)がTTPを誘発した、という出題者の意図を読み取ることもできる。チクロピジンにはTTPの副作用があることを覚えておこう。
a 発熱という主訴があり、経過観察はできない。
b 悪性腫瘍ではないため、抗癌化学療法は無効。
c 正しい。血漿交換療法が第一選択となる。
d 脾摘は血管外溶血を呈する病態に有効。
e 同種末梢血幹細胞移植もTTPには無効。

正答率:86%

テーマ:血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉の治療

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