102G42

31歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。6時間前に交通事故で胸部を打撲したが、そのまま帰宅していた。脈拍96/分、整。血圧126/78mmHg。血液所見:赤血球450万、Hb 14.2g/dL、Ht 42%、白血球11,000(桿状核好中球5%、分葉核好中球62%、好酸球2%、好塩基球2%、単球5%、リンパ球24%)、血小板32万。Dダイマー6.8μg/mL(基準1.0以下)。CRP 9.8mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.43、PaO2 54Torr、PaCO2 35Torr、HCO3- 25mEq/L。心電図に異常はない。胸部エックス線写真では両側肺野にすりガラス陰影を認める。
この患者で正しいのはどれか。2つ選べ
血性泡沫喀痰を認める。
水分を十分に補給する。
肺動脈楔入圧は高値である。
気道内分泌液の蛋白濃度は低値である。
非侵襲的陽圧換気〈NIPPV〉の適応がある。

解答: a,e

102G42の解説

呼吸困難を主訴とする31歳男性。6時間前に交通事故で胸部を負傷している。動脈血ガスではPaCO2は正常で、PaO2が低下しており、I型呼吸不全を呈している。胸部エックス線写真では両側肺野にすりガラス陰影を認めており、急性呼吸促拍症候群〈ARDS〉が考えられる。また血液所見でCRPの上昇があるため炎症の存在が示唆される。
a 正しい。ARDSでは毛細血管内皮細胞とI型肺胞上皮細胞が障害されることで、血性泡沫喀痰を認める。
b 水分摂取により循環血漿量が増加し肺血流量が増えるため、症状が増悪する恐れがある。
c ARDSは左心不全は認めないため、肺動脈楔入圧は正常値である。
d 毛細血管内皮細胞とI型肺胞上皮細胞が障害されることで、蛋白成分を含む浮腫をきたし、気道内分泌液の蛋白濃度は高値となる。
e 正しい。ARDSでは肺保護のため、早期の人工呼吸管理が適応となる。そのため非侵襲的陽圧換気〈NIPPV〉の適応がある。

正答率:65%

テーマ:急性呼吸窮迫症候群〈急性呼吸促迫症候群〉〈ARDS〉について

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