100A25

3か月の乳児。哺乳力低下を主訴に来院した。意識は清明。身長62cm、体重5.5kg。第4肋間胸骨左縁に3/6度の収縮期雑音を聴取し、II音肺動脈成分は亢進している。血液所見:赤血球385万、Hb 11.3g/dL、Ht 34%、白血球8,900。心臓カテーテル検査所見:肺動脈圧52mmHg、右室圧52mmHg、左室圧75mmHg、Qp/Qs 3.7、肺血管抵抗1.8単位、左室拡張終期容積(正常値比)201%、心電図を別に示す。
診断はどれか。
心房中隔欠損症
心室中隔欠損症
動脈管開存症
Eisenmenger症候群
肺動脈狭窄症

解答: b

100A25の解説

哺乳力低下のある3か月の乳児。II音肺動脈成分は亢進しており肺高血圧を疑わせる。心臓カテーテル検査では肺動脈圧ならびに右室圧は高いが左室圧が低い。このことから、左室から血が逃げてしまっている病態を考えることとなる。Qp/Qs 3.7であることから、肺血流が増加していることも読み取れる。左室レベルでの左→右シャントにより肺血流が増加し、さらに左心系へ還流する血流が増えるため左室拡大(201%)がみられていると考える。以上より心室中隔欠損症〈VSD〉の診断。心電図画像は正常範囲内であり、右心負荷を呈する他疾患を除外するために提示したものと思われる。なお、VSDであれば第4肋間胸骨左縁に3/6度の収縮期雑音を聴取していることも矛盾しない。
a 右心負荷がメインとなる。また、肺動脈弁狭窄症〈PS〉や三尖弁狭窄症〈TS〉の雑音を聴取する。
b 正しい。上記の通り。
c 胸骨左縁第2肋間での連続性雑音が聴取される。
d Qp/Qsは低値を示し、心電図も右心負荷所見が目立つはずだ。
e 胸骨左縁第2肋間に収縮期駆出性雑音を聴取する。また、肺血管抵抗が1.8単位(基準値なしに判別させるのは厳しいが、3以上で高値とみなす)と上昇していないことも否定する根拠になる。

正答率:64%

テーマ:心室中隔欠損症〈VSD〉の診断

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