お世話になっております。
本問において、白血球やCRP上昇から感染を疑うのはもっともだと思うのですが、
CTにおいて鏡面形成がないことから、胸腔の疾患(胸水、血胸、膿胸)などを除外してしまいました。
また、解説に書かれている壁構造(split pleura sign)に関してもよく理解できておらず、自分で調べてもわかりません。
この画像から胸腔内疾患である膿胸を鑑別に挙げられる
プロセスについてお分かりの方がいらっしゃれば、ご教授いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
まず身体所見で、「右肺濁音+呼吸音減弱」で膿胸などの胸腔内疾患が鑑別に上がると思います。
niveauやsplit pleura signについては、こちらのサイトがわかりやすいと思いますが、以下にniveauとsplit pleura signについて簡単にまとめておきます。
①niveauについて
niveauは液体とガスが同じ袋状の構造物(腸管や膿疱など)の中に存在しているときにみられるものなので、niveauがないからといって胸腔内疾患を除外できるわけではありません。
(膿胸の場合は壁側胸膜の破綻によって空気が入り込んだ場合にniveauがみられます)
②split pleura signについて
そもそも膿胸の場合、壁側胸膜と臓器側胸膜の間に膿がたまります。本来は一枚の胸膜にしか見えないはずなのに、膿がたまることで2枚の胸膜に「分かれて」見えるのが"split pleura sign"です。イメージ的には硬膜外血腫で硬膜の外に血腫ができるのに近いと思います。
本症例だと縦隔条件で見える占拠性病変の辺縁で、高吸収になっている構造が該当すると思われます。
ご参考になれば幸いです。
なんのかけさん
ご回答ありがとうございます。
なるほど、胸腔になにかものがあると重力に従って溜まっていくため二ボーが形成されるのだと勘違いしていました。
そもそも胸腔はほとんど隙間がないのですね、硬膜外血腫の例えが非常にわかり易かったです。
では膿胸の場合は溜まっていくというよりは肺を圧排していくと考える方が自然ということでしょうか?
また、胸水の場合も同じ理屈で二ボーが形成されるのは肺構造が壊れた時と考えていいのでしょうか?
ご返信いただければ幸いです。
なんのかけさん
お返事ありがとうございます。
なるほど、たまってマクロな変化が出る前に激烈な症状によって気づかれるということなんですね!
胸水の場合は大量なら二ボー必発だと思っていたのですが、肺構造の破壊により形成されるということだと
気づかせてもらいました。
最後に一つだけお聞きしたいのですが、この問題に関しては膿も大きく、また薄く広がっているわけではないため
ある程度正常肺を圧排し、だからこそsplit pleura signが出ているという読み方でいいでしょうか?
> しゃんてんさん
最初の投稿のリンクをもう一度添付しておくのでそちらをご覧になっていただければおわかりいただけると思うので、下の内容は読んでいただかなくても構いません。(カップラーメン待ってる間くらいで読めるサクッとしたやつです。)
臨床像は症例によって違うので一概にそうとは言えませんが、この症例の場合だとmassもそこそこ大きいので肺も圧排されているかもしれません。
ただ、split pleura sign自体はmassの必ずしも大きさによらないと思います。split pleura signの本質は「膜と膜の間に膿が溜まっている」ということです。それ以上でもそれ以下でもありません。
あと、本症例の主訴は「右胸部痛」ですよね。流れとしては感染→膿胸なので、この症例のように先行する感染症状から膿胸形成して「右胸部痛」が出てきます。胸膜の症状は非常に痛いので(癌性胸膜炎とかも痛み激烈ですよね)、急性の経過をたどる膿胸だと主訴は胸部痛になると思います。
なんのかけささん
詳しく丁寧に教えてくださりありがとうございます。
膿胸の診断プロセスがよく理解できました。
助かりました、ありがとうございました!
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次の文を読み、44、45の問いに答えよ。
86歳の男性。右胸部痛と食欲不振とを主訴に来院した。
現病歴:10年前からCOPDのために外来通院中であった。2週間前から微熱、全身倦怠感および食欲不振を自覚していた。昨日、右胸部痛が出現し、本日夜間に39.0℃の発熱と右胸部痛が増悪したため、救急外来を受診した。
既往歴:COPDと高血圧症のため通院中である。
生活歴:妻および長男夫婦と同居している。喫煙は20本/日を70歳まで50年間。飲酒はビール350mL 2、3本/日を50年間。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長160cm、体重52kg。体温38.8℃。脈拍100/分、整。血圧120/68mmHg。呼吸数24/分。SpO2 86%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔と咽頭とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音に異常を認めないが、右胸部で呼吸音が減弱している。打診では右肺で濁音を呈する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢の筋力は保たれている。腱反射に異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球355万、Hb 12.1g/dL、Ht 36%、白血球16,500(桿状核好中球25%、分葉核好中球65%、好酸球1%、単球2%、リンパ球7%)、血小板40万。血液生化学所見:総蛋白5.9g/dL、アルブミン2.2g/dL、AST 29U/L、ALT 18U/L、LD 173U/L(基準176〜353)、ALP 223U/L(基準115〜359)、γ-GTP 44U/L(基準8〜50)、CK 260U/L(基準30〜140)、尿素窒素35mg/dL、クレアチニン1.6mg/dL、血糖161mg/dL、HbA1c 5.7%(基準4.6〜6.2)、Na 131mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 97mEq/L、Ca 8.4mg/dL。CRP 31mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.55、PaCO2 32Torr、PaO2 56Torr、HCO3- 28mEq/L。心電図で異常を認めない。臥位のポータブル胸部エックス線写真(A)と胸部CT(B、C)とを別に示す。
この画像所見をきたす原因として最も考えられるのはどれか。