2018年に肺癌診療ガイドライン第8版が発表されました。
弊社テキストは従来のガイドラインを参照しており、お問い合わせも頂いたので簡単に改訂ポイントをご説明致します。
大まかな流れでは、T分類とM分類とが改訂されました。ステージングについては新たにIIIC期が導入され、IV期もAとBとに分けられました。下記にそれぞれの変更点を挙げます。
①腫瘍径3㎝でT1と2を分けることは変更ないが、1cm毎に細分化し、また、T3と4も腫瘍径7cmで分類することとした。
☞T1は、下記に加え主気管支に及んでいないものとする。
T1a:腫瘍径≦1cm、T1b:>1cmかつ≦2cm、T1c:>2cmかつ≦3cm
T2は、下記に加え、主気管支に及ぶが気管分岐部に及ばないもの、臓側胸膜に浸潤しているもの、無気肺または閉塞性肺炎があるもの、のいずれかを認めるものとする。
T2a:>3cmかつ≦4cm、T2b:>4cmかつ≦5cm
T3は、腫瘍径>5cmかつ≦7cmである他に、壁側胸膜、胸壁、横隔神経、心膜のいずれかに直接浸潤しているものや、同一葉内の不連続な腫瘍結節を認めるものとする。
T4は、>7cmである他に、(大きさを問わず)横隔膜、縦隔、心、大血管、気管、反回神経、食道、椎体、気管分岐部への浸潤、 あるいは同側の異なった腫瘍を認めるものとする。
②横隔膜浸潤は予後不良であることからT3ではなくT4とする。
①M1aは,胸膜播種,悪性胸水,対側肺内転移が含まれ、これ以外の遠隔臓器への転移は、全てM1bとして分類している。
②遠隔転移の中でも単発は多発に比べて予後が良いことから前者をM1b、後者をM1cと分類した。
①T1とT2a+N1群をIIAからIIBへ、T3とT4+N3群がIIIBからIIICへ変更となった。
②M1aとM1bをIVA、M1cをIVBと細分化した。
ステージ分類を詳細にすることで、より正確に予後を予測できるようになったと考えられます。
しかしながら、医師国家試験では細かなステージ分類や各因子を問われることはごく稀であり、出題の大半を占める治療方針については今回のガイドライン改訂によってもほぼ影響を受けません。テキスト掲載の過去問の正答に変更が出ることもありませんのでご安心ください。