116F53

46歳の女性。本日未明、左の側腹部から背部にかけての激しい痛みを主訴に来院した。3年前にも同様の症状があったが、自然軽快した。家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長158cm、体重58kg。体温36.3℃。脈拍80/分、整。血圧122/86mmHg。呼吸数20/分。顔色は蒼白で悪心を訴える。腹部は平坦で、反跳痛を認めない。左の肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)、潜血+、沈渣に赤血球10~19/HPF、白血球1~4/HPFを認める。血液所見:赤血球434万、Hb 13.8g/dL、Ht 42%、白血球9,600、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 30U/L、ALT 28U/L、LD 179U/L(基準120~245)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸6.6mg/dL、血糖98mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L、Ca 9.1mg/dL。腹部エックス線写真(臥位)を別に示す。

この患者への再発予防に関する説明で適切なのはどれか。

「塩分摂取が有効です」
「脂肪摂取が有効です」
「クエン酸摂取が有効です」
「アルコール摂取が有効です」
「ビタミンD摂取が有効です」

解答: c

116F53の解説

【プロセス】
①左の側腹部から背部にかけての激しい痛み
②3年前にも同様の症状(自然軽快)
③左の肋骨脊柱角に叩打痛
④尿潜血+、沈渣赤血球増加
⑤腹部エックス線写真にて椎体左側に石灰化陰影
☞片側性の比較的広範囲にわたる激痛(①)、同様の症状の反復(②)、叩打痛(③)、尿所見(④)、結石の存在と思われる画像所見(⑤)、すべてが尿路結石を考えさせるものである。

【選択肢考察】
a 塩分摂取により尿中ナトリウムが増加し、セットで尿中にカルシウムも誘導されやすくなる。そのため、カルシウム結石のリスクとなる。
b 脂肪過多により、消化管内でシュウ酸とカルシウムとが結合しにくくなり、シュウ酸単独の吸収が増える。これにより血中、さらには尿中のシュウ酸が増え、シュウ酸カルシウム結石のリスクとなる。
c 正しい。クエン酸はカルシウムのキレート作用を持つ。これにより、シュウ酸カルシウム結石の予防効果がある。
d アルコール摂取による脱水となり、尿路結石のリスクが増加する。また、アルコール摂取過多は高尿酸血症のリスクであり、尿酸結石を生じる原因ともなる。
e ビタミンD摂取により、血中カルシウムが増加する。これにより尿中カルシウムも増え、カルシウム結石のリスクとなる。

正答率:89%

テーマ:尿路結石の再発予防に関する説明

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