116F50

33歳の男性。3か月前から欠勤が増え、職場でアルコール臭を指摘された。産業医の勧めで精神科を受診したところ、アルコール依存症と診断された。診察時、「仕事が忙しく気分が落ち込むため飲酒量が増えた。飲みすぎといわれたので3日前から断酒した」という。手指の震えと発汗を認める。

この患者で正しいのはどれか。

身体依存が認められる。
医師から退職を勧める。
うつ病を合併する可能性は低い。
治療の第一選択は薬物療法である。
自ら積極的に治療を求めることが多い。

解答: a

116F50の解説

【プロセス】
①アルコール依存症と診断
②仕事が忙しく気分が落ち込むため飲酒量が増えた
③飲みすぎといわれたので3日前から断酒した
④手指の震えと発汗
☞②より①に至っていると考えられる。③によって、アルコール離脱症状(④)が出現している。

【選択肢考察】
a 正しい。アルコールは身体依存、精神依存、耐性のすべてをもつ。本患者では離脱症状に陥っており、身体依存があったことが分かる。
b 休職ならまだしも、退職は早計。
c ③(気分が落ち込む)より、うつ病の合併も考えられる。
d △。アルコール離脱症状に対する治療の第一選択はベンゾジアゼピン系薬である。その観点からは正解とみなせる余地もあるのだが、もし「アルコール依存症の治療」が意図されているとしたら薬物ではなく断酒が第一選択となる。本問では他に明らかすぎる正答肢があるため、総合的に考慮し、本選択肢は選択しない。
e アルコール依存症患者は一般に病識に乏しく、自発的・積極的な治療参加は見込めないことが多い。

正答率:92%

テーマ:アルコール依存症について

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