116F51

32歳の男性。悪心を主訴に救急車で搬入された。事故により放射性物質の密封線源が破損し、着衣と皮膚に付着したという。既往歴はない。意識は清明。身長172cm、体重60kg。体温36.2℃。心拍数80/分、整。血圧122/68mmHg。呼吸数12/分。SpO2 100%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。病院前救護で脱衣と線源付着部の水的除染が実施された。受傷から40分が経過している。

この患者への対応にあたり適切でないのはどれか。

医療者は個人線量計を装着する。
医療者は袖なしエプロンを装着する。
曝露した放射性物質の種類を確認する。
患者の搬入経路を考慮しゾーニングを行う。
放射線測定器を用いて患者の表面の汚染測定を行う。

解答: b

116F51の解説

【プロセス】
①悪心を主訴
②事故により放射性物質が着衣と皮膚に付着
③病院前救護で脱衣と線源付着部の水的除染が実施
④受傷から40分が経過
☞②より放射線被曝者への対応を考える。④より既に①のような症状が出現し始めている。今後、さらなる病状悪化が懸念されるため、予断を許さない。③後の対応として適切でないものを選択肢から1つ選ぼう。

【選択肢考察】
a 医療者自身への放射線被曝量を評価すべく、個人線量計の装着が必要となる。
b 誤り。「袖なし」では上肢へ被曝してしまう。
c 放射性物質の種類(ガンマ線など)により、みられる障害の特性やその処置が異なる。
d 汚染の拡大を防止すべく、患者の搬入経路を考慮しゾーニング(区域設定)を行う。
e 患者の表面の汚染状況は放射線測定器で確認可能。

正答率:97%

テーマ:事故により放射線被曝をした患者への対応

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