116D64

24歳の女性。持続する発熱を主訴に来院した。2か月前に37℃台後半の発熱が出現した。その他に症状はなかったが、発熱が持続するため受診した。体温37.8℃。脈拍92/分、整。血圧110/72mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。右頸部に動脈の走行に一致した圧痛と血管雑音を聴取する。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。表在リンパ節を触知しない。血液所見:赤血球数392万、Hb 9.8g/dL、Ht 30%、白血球14,300、血小板42万。血液生化学所見:尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。CRP 8.0mg/dL。

この病態を評価するうえで適切でないのはどれか。

造影CT
動脈生検
造影MRI
FDG-PET
頸動脈超音波検査

解答: b

116D64の解説

【プロセス】
①若年女性
②2か月前に37℃台後半の発熱が出現・持続
③右頸部に動脈の走行に一致した圧痛と血管雑音
④白血球14,300・CRP 8.0mg/dL
☞②④より感染症などの炎症が疑われるが、これだけでは膨大な鑑別疾患が挙がる。決定的なのは③であろう。①に好発する疾患である高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉を考えたい。

【選択肢考察】
a 造影CTにより、大動脈の狭窄などを評価することができる。
b 誤り。大動脈を生検したら大量出血が予想され危険であることは常識的にも判断可能であろう。しかしながら本番当日にこの選択肢を選べた者は約15%と少なかった(FDG-PETを選んだものが80%弱)。そのためか、「問題として適切であるが、受験生レベルでは難しすぎるため」という位置づけで採点除外問題となった。
c 造影CTと同じく、大動脈の狭窄などを評価することができる。
d 大動脈の炎症の広がりを評価することができる。どうしても「FDG-PET=悪性腫瘍」という先入観が邪魔をし、適切でないと考えてしまった受験生が多かったようだ。
e 頸動脈の壁肥厚や血流を評価することができる。

正答率:15%

テーマ:高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉の評価に用いる検査

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