116C56

6歳6か月の女児。約1年前から乳房腫大に気づかれていたが、次第に目立ってきたため母親に連れられて来院した。身長127cm、体重26kg。体温36.3℃。外表に異常を認めず、甲状腺腫を触知しない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。乳房の成熟度は両側ともTanner分類でIII度である。血中エストラジオール値とLH-RH試験の結果は乳房腫大に矛盾しない。成長曲線を別に示す。

診断に有用な検査はどれか。2つ選べ

頭部MRI
染色体検査
心エコー検査
マンモグラフイ
手根骨エックス線撮影

解答: a,e

116C56の解説

【プロセス】
①6歳6か月の女児
②乳房腫大
③乳房の成熟度は両側ともTanner分類でIII度
④血中エストラジオール値とLH-RH試験の結果も②③に矛盾なし
⑤成長曲線にて現在身長が+2SDを超えている
☞①に②をみた場合、乳房だけなのか(早発乳房発育症)、それとも思春期早発症なのか、を鑑別する必要がある。本患児では④⑤より思春期早発症の可能性が高い。

【選択肢考察】
a 正しい。下垂体腫瘍からのゴナドトロピン過剰分泌など、脳内が原因となっている可能性を考慮する。
b Turner症候群など染色体異常が原因となる疾患では生下時からの低身長をきたしやすい。
c 先天性心疾患の存在があれば、むしろ低身長・低体重となりやすい。思春期早発症と先天性心疾患を合併する特定の疾患が想起できれば行う価値もあるが、少なくとも思春期早発症自体の診断には適さない。
d 乳腺疾患を疑った場合に実施する。
e 正しい。骨年齢を確認できる検査であり、思春期早発症疑いの時点でよく行われる。

正答率:93%

テーマ:思春期早発の診断に有用な検査

フォーラムへ投稿

関連トピック