116C57

32歳の女性。意識障害のため友人に伴われて来院した。暖炉の火が燃えているままの部屋で倒れている患者を発見し、友人が乗用車で救急外来に搬送した。来院時の呼びかけに応答せず、けいれんがみられる。体温36.8℃。心拍数104/分、整。血圧98/60mmHg。呼吸数12/分。SpO2 99%(room air)。瞳孔径は両側4mmで対光反射は迅速である。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。体表に熱傷やその他の外傷はみられない。皮膚は鮮紅色でチアノーゼを認めない。胃洗浄で薬物は検出されない。血液生化学所見:乳酸40mg/dL(基準5~20)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.30、PaCO2 32Torr、PaO2 70Torr、HCO3- 21mEq/L、BE〈base excess〉−3.0mEq/L。

まず行うべき対応はどれか。2つ選べ

頭部MRI
酸素投与
ジアゼパム投与
胸部エックス線
高気圧酸素治療

解答: b,c

116C57の解説

【プロセス】
①意識障害
②暖炉の火が燃えているままの部屋で倒れていた
③けいれんがみられる
④皮膚は鮮紅色でチアノーゼを認めない
⑤乳酸高値
⑥PaO2 70Torr
☞①②④より一酸化炭素〈CO〉中毒を疑う。CO中毒では好気呼吸が障害され、⑤を認めやすい。⑥より酸素も低下している。③への対応も必要そうだ。

【選択肢考察】
a CO中毒では遅発性に淡蒼球や大脳白質が障害されることが知られる。が、あくまで遅発性にみられうるという位置づけであり、生命の危機にある現時点で「まず行うべき対応」ではない。
b 正しい。⑥より酸素投与が必須。
c 正しい。③よりけいれんへの対処としてジアゼパムを投与する。
d 入院になる可能性が高く、ルーチンとして行う可能性が高い。が、CO中毒自体の検査ではなく、少なくとも「まず行うべき対応」ではない。
e CO中毒の治療法の1つであるが、患者をカプセル状の酸素タンクに収容して行う処置である。意識障害やけいれんの存在下では実行困難。約6割の受験生が本選択肢を選んでしまったが、一般問題と臨床問題との棲み分けを意識し、提示された患者の個別状況に応じた臨機応変な対応を意識してほしい。

正答率:39%

テーマ:一酸化炭素中毒にまず行うべき対応

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