116A72

40歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。昨日から心窩部痛を自覚していた。本日夕方、突然に激痛となり、動けなくなったため救急搬送された。身長172cm、体重52kg。体温37.0℃。心拍数116/分、整。血圧138/60mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。意識は清明。腹部は平坦で、全体に筋性防御を認め、上腹部に圧痛と反跳痛を認める。腸雑音は消失している。血液所見:赤血球488万、Hb 14.8g/dL、Ht 44%、白血球12,200、血小板33万。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.1g/dL、総ビリルビン0.2mg/dL、AST 18U/L、ALT 19U/L、LD 135U/L(基準120~245)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。CRP 1.7mg/dL。腹部単純CTの軟部条件(A)と肺野条件(B)を別に示す。

まず行うのはどれか。3つ選べ

絶食
輸液
腹腔穿刺
経鼻胃管挿入
上部消化管内視鏡検査

解答: a,b,d

116A72の解説

【プロセス】
①昨日から心窩部痛を自覚→本日夕方、突然に激痛へ
②腹部全体に筋性防御、上腹部に圧痛と反跳痛
③腸雑音は消失
④白血球12,200・CRP 1.7mg/dL
⑤腹部単純CTにてfree air
☞消化性潰瘍の破綻による消化管穿孔であろう。これにより腹膜炎をきたし①②④が、腹膜炎により麻痺性イレウスを呈し③が、air leakが起こり⑤がみられている。

【選択肢考察】
a 正しい。消化管が穿孔しており、経口摂取は危険である。
b 正しい。麻痺性イレウスにより、血管内脱水に至っている可能性が高い。輸液により補正したい。
c 腹水が大量に貯留しているわけでもなく、腹腔穿刺する意義に乏しい。にも関わらず、約8%の者が本番で本選択肢を選んでいる。たしかに気胸に対しては胸腔ドレナージ(胸腔穿刺)を行うが、それと混同したのだろうか?
d 正しい。麻痺性イレウスに対し、減圧を図る。
e 消化管穿孔時には一般に上部消化管内視鏡検査は行わない。送気により状態悪化が懸念されるためだ。

正答率:84%

テーマ:消化管穿孔にまず行う対応

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