116A73

18歳の男性。寮生活をしている。発熱と意識障害を主訴に救急車で搬入された。前日から38.5℃の発熱と頭痛を認めた。本日になり意味不明の言動がみられるようになったため友人が救急要請を行った。意識レベルはJCS II-20。体温38.4℃。心拍数100/分、整。血圧102/70mmHg。呼吸数24/分。SpO2 99%(マスク5L/分 酸素投与下)。項部硬直を認める。四肢に紫斑を認める。脳脊髄液検査:外観混濁、初圧220mmH2O(基準70~170)、細胞数861/mm3(多核球790、単球71)、蛋白100mg/dL、糖16mg/dL(同時血糖128mg/dL)。脳脊髄液のグラム染色ではグラム陰性双球菌と白血球による貪食像を認めた。

正しいのはどれか。3つ選べ

治療の第一選択薬はペニシリンである。
脳脊髄液検体は培養開始まで冷蔵保存する。
この原因微生物に対する不活化ワクチンがある。
診断後7日以内に保健所への届出が必要である。
患者に接触した医療従事者には抗菌薬の予防投与を行う。

解答: a,c,e

116A73の解説

【プロセス】
①発熱と意識障害(JCS II-20;意味不明の言動あり)
②項部硬直を認める
③四肢に紫斑を認める
④脳脊髄液検査にて外観混濁、細胞数は多核球優位に増加、糖は減少
⑤脳脊髄液のグラム染色ではグラム陰性双球菌
☞②より髄膜炎と判断する。これにより①の症候がみられている。④より細菌性が疑われるが、⑤よりグラム陰性双球菌が原因と分かる。頻度的には髄膜炎菌が原因として考えやすい。③より播種性血管内凝固〈DIC〉も併発しており、状態は悪い。一刻も早い治療対応が求められる。

【選択肢考察】
a 正しい。髄膜炎菌に対してはペニシリンが第一選択となる。
b 髄膜炎菌は冷蔵に弱いため、脳脊髄液検体は培養開始まで常温保存する。
c 正しい。髄膜炎菌に対しては不活化ワクチンが存在する。
d 侵襲性髄膜炎菌感染症は『感染症法』上、5類に位置づけられるが、例外として直ちに届け出ることが定められている。なお、何をもって「侵襲性」と呼ぶかで悩んだ者もいたようだが、髄液又は血液などの無菌部位から菌が検出された場合にこう呼ぶ。ゆえに本症例の場合は「侵襲性」である。
e 正しい。曝露した者にはリファンピシンやセフェム系抗菌薬の予防投与が推奨される。

正答率:26%

テーマ:髄膜炎菌性髄膜炎について

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