116A29

40歳の男性。字がうまく書けないことを主訴に来院した。3年前から書類にサインするときに字がうまく書けないことに気づいていたが、徐々に仕事にも支障をきたすようになった。それ以外の日常生活に支障はない。神経診察では筋トーヌスは正常で不随意運動はみられない。四肢筋力低下はなく腱反射は正常である。協調運動障害と感覚障害は認めない。鉛筆で字を書くように指示すると、示指と中指の近位指節間関節と遠位指節間関節が強く屈曲し、歪んだ形の字となった。

考えられるのはどれか。

書痙
痙性斜頸
本態性振戦
ジスキネジア
アステリキシス

解答: a

116A29の解説

【プロセス】
①字がうまく書けないこと
②それ以外の日常生活に支障はない
③字を書くように指示すると、示指と中指の近位指節間関節と遠位指節間関節が強く屈曲
☞①②より、書字に限局した障害とわかる。③については114D4にて画像の出題がある。書痙が考えやすい。書痙は局所性ジストニアの1つである。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b 頸部ジストニア。書痙と同じくジストニアに分類されるも、別の疾患である。
c 書字の際に手がふるえ、特に緊張時に悪化する傾向あり。ふるえのため、食事の時にお椀の味噌汁をこぼすこともあり、書字以外の日常生活にも支障が出る。
d ジスキネジアとジストニアは名前が似ているが別病態である。
e 別名、羽ばたき振戦。肝性脳症でみられる。

正答率:96%

テーマ:書痙の診断

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