116A30

42歳の男性。下腹部痛と悪心を主訴に来院した。生来健康で、半年前の定期健診でも異常は指摘されなかった。朝食後に右側腹部に張る感じがあり、次第に痛みへと変わり、急速に激痛となった。うずくまってじっとしているうちに数分で痛みは一旦改善したが10分ほどで悪化し、悪心とともに嘔吐した。その後も数分から10数分の周期で痛みと悪心があり、タクシーで来院した。発熱は認めない。痛みは下方へと少しずつ移動しており来院時には右下腹部痛を認めるが、右側腹部から背部のこわばるような違和感も持続している。

予想される所見はどれか。

尿潜血3+
両側水腎症
尿沈渣で赤血球円柱+
血清クレアチニン値10.2mg/dL
尿蛋白/クレアチニン比5.5g/gCr

解答: a

116A30の解説

【プロセス】
①朝食後に右側腹部に張る感じ
②次第に痛みへと変わり、急速に激痛
③数分から10数分の周期で痛みと悪心
④痛みは下方へと少しずつ移動
⑤右側腹部から背部のこわばるような違和感
☞①②からは急性虫垂炎が鑑別に挙がるも、③④⑤からは否定的。周期性があることや、側腹部から背部に違和感があることからは、むしろ尿路結石を考えたい。

【選択肢考察】
a 正しい。尿路結石の存在下では血尿はほぼ必発。
b 今回は片側性の病態であり、水腎症が出現したとしても両側性にみられることは考えにくい。
c 赤血球円柱が出現するのは糸球体病変においてである。
d 発症後間もないこと、生来健康で比較的若い年齢であること、片側性であること、など総じて考えるに血清クレアチニン値が10mg/dLを超えるレベルに上昇する可能性は低い。
e 尿蛋白の増加がみられるのはネフローゼ症候群においてである。

正答率:90%

テーマ:尿路結石で予想される所見

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし