116A27

81歳の男性。呼吸困難のため救急車で搬入された。自宅近くの診療所でCOPDと診断され、気管支拡張薬による治療を受けていた。本日午前2時頃から呼吸困難が出現し、鼻カニューラで0.5L/分の酸素を投与されながら午前8時に救急搬送された。意識は清明。体温38.3℃。心拍数72/分、整。血圧128/64mmHg。呼吸数16/分。聴診で両側呼吸音の減弱を認める。血液所見:白血球9,800(好中球91%、好酸球0%、単球5%、リンパ球4%)。CRP 4.0mg/dL。動脈血ガス分析(鼻カニューラ0.5L/分 酸素投与下):pH 7.33、PaCO2 58Torr、PaO2 62Torr、HCO3- 30mEq/L。肺野条件の胸部CT(A)と喀痰Gram染色標本(B)とを別に示す。

まず行うべきなのはどれか。

原因菌のワクチンを接種する。
非侵襲的陽圧換気を開始する。
鼻カニューラの酸素流量を増やす。
呼吸リハビリテーションを開始する。
アミノグリコシド系抗菌薬を投与する。

解答: b

116A27の解説

【プロセス】
①COPDと診断済で気管支拡張薬による治療中
②深夜に呼吸困難が出現、鼻カニューラで0.5L/分の酸素を投与されながら朝に救急搬送
③聴診で両側呼吸音の減弱
④体温38.3℃・白血球9,800(好中球91%)・CRP 4.0mg/dL
⑤胸部CTにて両側肺の浸潤影
⑥喀痰Gram染色にてGram陽性双球菌の検出
☞①②からはCOPDの急性増悪が疑われる。③④⑤からは肺炎が考えやすい。⑥より肺炎球菌性肺炎の診断。

【選択肢考察】
a すでに感染しており、現時点でのワクチン接種は手遅れ。
b 正しい。PaCO2の高値とPaO2の低値もみられており、非侵襲的陽圧換気を開始したいタイミングと言える。
c CO2ナルコーシスのリスクとなるため、好ましくない。
d 呼吸困難で救急搬送された直後の患者に行うべきことではない。状態が安定してきたタイミングでの導入を検討したい。
e 肺炎球菌性肺炎に対してはペニシリンなどのβラクタム系抗菌薬が選択される。

正答率:71%

テーマ:COPD急性増悪への対応

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