115F52

日齢25の女児。嘔吐を主訴に母親に連れられて来院した。在胎38週、出生体重2,850g。完全母乳栄養で生後11日頃から哺乳後に1日2~3回の嘔吐を認めたため受診した。吐物は母乳様で、排便は毎日あったという。身長50cm、体重3,520g(14日前の体重3,100g)。体温36.6℃。心拍数120/分、整。血圧90/62mmHg。呼吸数24/分。大泉門の陥凹はない。腹部は軽度膨満を認めるが、軟である。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、尿比重1.005。血液所見:赤血球450万、Hb 13.5g/dL、Ht 43%、白血球7,400、血小板21万。血液生化学所見:AST 38U/L、ALT 28U/L、尿素窒素5.4mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 0.1mg/dL。上部消化管造影像を別に示す。

治療として適切なのはどれか。

緊急手術
経管栄養
静脈栄養
制吐薬投与
右側臥位保持

解答: e

115F52の解説

【プロセス】
①日齢25の新生児
②嘔吐・軽度膨満
③上部消化管造影像にて胃底部の造影剤貯留と胃の傾斜
胃軸捻転(長軸捻転)の診断。国試史上、初めて臨床問題で出題された疾患であり、疾患の理解と③の読影ができないと自信を持っての正答は困難。

【選択肢考察】
a 慢性経過であり、バイタルも安定している。緊急手術が必要な状態とは考えにくい。
b 14日間で420gの体重増加があり、これは1日30gに該当するため正常だ。ゆえに栄養が不足している状態とは考えにくい。
c 嘔吐はあるものの、血圧低下や脱水所見は認めないため、必要ない。
d 根本的な対処になっておらず、不適切。また日齢25の新生児に制吐薬を投与することは一般にしない。
e 正しい。右側臥位を保持することで、胃内容が十二指腸以下へ通過しやすくなる。嘔吐を減らすこともできる。

正答率:45%

テーマ:胃軸捻転の治療

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