115F51

42歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。横断歩道を歩行中、自家用車にはねられた。呼吸困難と胸痛を認める。意識は清明。心拍数122/分、整。血圧90/40mmHg。呼吸数25/分。呼吸音は右胸部で減弱しており、吸気時に右前胸部が陥凹する所見がみられた。来院時、SpO2 92%(マスク5L/分酸素投与下)であった。

前胸部陥凹の原因はどれか。

血胸
横隔膜損傷
横隔神経麻痺
多発肋骨骨折
心タンポナーデ

解答: d

115F51の解説

【プロセス】
①交通外傷
②呼吸困難と胸痛
③呼吸音は右胸部で減弱
④吸気時に前胸部陥凹
④は多発肋骨骨折によるflail chestの所見である。③からは気胸の存在も疑われるが、断言はできない。エックス線撮影等で今後明らかになるはずだ。

【選択肢考察】
a 気胸の存在は疑われるも、「前胸部陥凹の原因はどれか」と聞かれている以上、正解とはならない。
b 腹腔内臓器が胸腔へ脱出し、むしろ胸部は膨隆する可能性が高い。
c 横隔膜が胸腔側へ挙上するため、腹部が陥凹する可能性が高い。
d 正しい。上記の通り。
e 受傷機転や心拍数・血圧は矛盾しないが、そもそも前胸部陥凹をみない。

正答率:97%

テーマ:多発肋骨骨折によるフレイルチェストの診断

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