115F46

34歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠38週1日、午前2時に規則的な子宮収縮と破水感のため来院した。これまでの妊娠経過に異常は指摘されていない。既往歴に特記すべきことはない。身長147cm、体重62kg(非妊時50kg)。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧132/74mmHg。呼吸数18/分。子宮底40cm、腹囲90cm。内診所見は、先進部は児頭を触知し、子宮口は2cm開大、展退度は50%、児頭下降度はSP-3cm。推定胎児体重は3,880gであった。陣痛発来と前期破水の診断にて入院となった。陣痛は徐々に増強し、午前8時の内診で、子宮口8cm開大、児頭下降度はSP-1cm、小泉門を1時方向に触知した。午前10時、子宮口は全開大したが、児頭下降度と児頭の回旋は変わらなかった。陣痛周期は2〜3分間隔で持続時間は40秒。午後2時の時点で内診所見は変わらない。この時点の胎児心拍数陣痛図を別に示す。

適切な対応はどれか。

会陰切開
吸引分娩
経過観察
帝王切開
オキシトシン投与

解答: d

115F46の解説

【プロセス】
①妊娠38週の初産婦
②午前2時に規則的な子宮収縮と破水感
③身長147cm
④子宮底40cm(妊娠38週では基準36cm)
⑤腹囲90cm(妊娠末期としては基準値上限程度)
⑥推定胎児体重は3,880g
⑦SP-1cm
⑧小泉門を1時方向(第2回旋途中)
⑨陣痛周期は2〜3分間隔で持続時間は40秒(@子宮口全開大)
⑩現在午後2時だが午前10時(子宮口全開大したタイミング)と内診所見変わらず
⑪胎児心拍数陣痛図では一過性頻脈
②で分娩開始となっているが、⑩と合わせ、現時点で12時間が経過している状態である。⑩より分娩第2期に4時間を要しており、遷延分娩と言える。同時に2時間以上変化がなく、分娩停止とも言える。⑪より児の状態に問題はなく、かつ⑨より有効な陣痛が維持されている。ではどうして分娩停止しているのか。ヒントは③〜⑥である。児が大きく、母体は小さい。すなわち、児頭骨盤不均衡〈CPD〉の存在が疑われる。

【選択肢考察】
a 拝臨・発露(SP+4〜5)の状態にて適応となる。
b SP+2〜の下降度で適応となる。
c CPDが存在した場合、経過観察では産まれない。
d 正しい。CPDは絶対的な帝王切開の適応である。
e ⑨より有効な陣痛が維持されており、子宮収縮薬を投与する必要はない。

正答率:71%

テーマ:児頭骨盤不均衡〈CPD〉による遷延分娩への対応

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