115D73

45歳の男性。右側腹部痛を主訴に来院した。今朝未明に突然右の下腹部から側腹部にかけての激しい痛みが出現し、その後持続していた。意識は清明。身長165cm、体重72kg。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧130/90mmHg。呼吸数24/分。顔色は蒼白で冷汗を認める。腹部は平坦で、肝、脾を触知しない。反跳痛と筋性防御を認めない。右の肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)、潜血1+、沈渣に赤血球5〜9/HPF、白血球1〜4/HPFを認める。血液所見:赤血球434万、Hb 13.8g/dL、Ht 42%、白血球9,600、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 30U/L、ALT 28U/L、LD 179U/L(基準120〜245)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸5.6mg/dL、血糖98mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L、Ca 9.1mg/dL。右腹部超音波像(A)、腹部単純エックス線写真(B)、腹部単純CT(C)を別に示す。

再発予防で正しいのはどれか。2つ選べ

飲水
カルシウムの摂取
ビタミンCの摂取
抗アンドロゲン薬服薬
動物性タンパク質の摂取

解答: a,b

115D73の解説

【プロセス】
①突然右の下腹部〜側腹部の激しい痛み
②右の肋骨脊柱角に叩打痛
③血尿
④超音波像にて腎盂の拡張(水腎症)
⑤腹部単純エックス線にて第3〜4腰椎間に結石陰影
⑥腹部単純CTにて右腸腰筋腹側の結石陰影
典型的な尿路結石の症例である。

【選択肢考察】
a 正しい。最もスタンダードな再発予防策である。
b 正しい。カルシウム〈Ca〉は尿路結石の成分となるため、少し考えるとCa制限が再発予防に有効なように思える。が、食事から摂取したCaは腸管内でシュウ酸をキャッチして便中へ捨てる働きをしている。そのため、Ca制限すると逆に腸管からのシュウ酸取り込みが促進され、シュウ酸Ca結石ができやすくなってしまうのだ。ゆえに、Ca制限はむしろ逆効果なのである。よって適量のCa摂取が推奨されている。
※あくまで適量の摂取でよく、過剰摂取せよ、という意味ではない。
c ビタミンCは体内で代謝されシュウ酸に変化する。ゆえにシュウ酸Ca結石のリスクとなる。
d アンドロゲン(男性ホルモン)と尿路結石に直接の関係はない。
e 動物性タンパク質の摂取は尿中の尿酸排泄量を増加させる。これにより尿酸結石のリスクが上昇してしまう。動物性タンパク質はまた、クエン酸の尿中排泄を減少させる作用もある。クエン酸は尿をアルカリ化して各種尿路結石のリスクを低下させるとともに、シュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムの結晶形成を抑制させる働きをもつ、尿路結石の再発予防に重要な成分だ。これが減少することで尿路結石のリスクは上昇してしまう。

正答率:46%

テーマ:尿路結石の再発予防策

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