115D72

64歳の男性。2か月前からの頸部リンパ節、腋窩リンパ節腫脹を主訴に来院した。頸部リンパ節生検の結果、CD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断に至った。HBs抗原、HCV抗体は陰性であった。

治療を開始するにあたり確認すべき検査項目はどれか。2つ選べ

HBc抗体
HBe抗原
HBe抗体
HBs抗体
HBc-IgM抗体

解答: a,d

115D72の解説

【プロセス】
①CD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断済
②HBs抗原とHCV抗体は陰性
①に対してはR-CHOP療法(リツキシマブを用いた多剤併用化学療法)が行われる。この際、B型肝炎ウイルス〈HBV〉既感染者であった場合、HBVが再活性化してしまう(いわゆるde novo肝炎)危険性がある。その評価のため事前に測定すべき抗体や抗原を覚えよう。

【選択肢考察】
a 正しい。他に「HBc-IgM抗体」という選択肢があり、いささか当惑するも、本選択肢は「HBc-IgG抗体」を指すものと考えられる。この抗体はHBV感染後、ほぼ生涯にわたって陽性が続くため、既感染の判断に有用だ。
b HBVの活動性を表す指標であり、HBs抗原が陰性である今、測定する意義に乏しい。
c HBe抗原が陰転化するタイミングで上昇する。HBe抗原と同じ原理で、HBs抗原が陰性である今、測定する意義に乏しい。
d 正しい。HBs抗原が陰性化した後に陽性化するため、HBs抗原が陰性である今、測定する価値がある。
e HBVへの感染初期に陽性となる指標である。現在、この患者に肝炎症状はみられないため、特定する意義に乏しい。

正答率:76%

テーマ:抗癌化学療法開始前に確認すべきB型肝炎関連の検査項目

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