115D54

63歳の男性。発熱と下肢の皮疹を主訴に来院した。10年前に自宅近くの医療機関で関節リウマチと診断され、抗リウマチ薬による治療を受けていた。1年前から多発関節痛が増悪し、抗リウマチ薬の増量や追加をされたが改善しなかった。1週前から37℃台の発熱を認め、市販の解熱鎮痛薬を内服していたが改善しなかった。2日前から38℃台の発熱となり、下肢の皮疹に気付いたため受診した。体温38.3℃。脈拍96/分、整。血圧142/86mmHg。呼吸数18/分。眼球結膜の充血を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に一部潰瘍を伴う紫斑を認める。尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 392万、Hb 10.2g/dL、Ht 32%、白血球13,700(桿状核好中球26%、分葉核好中球44%、好酸球1%、好塩基球1%、単球10%、リンパ球18%)、血小板36万。血液生化学所見:総ビリルビン0.9mg/dL、AST 38U/L、ALT 42U/L、LD 315U/L(基準120~245)、γ-GT 72U/L(基準8~50)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。免疫血清学所見:CRP 8.2mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉1,260IU/mL(基準20未満)、抗核抗体陰性、CH50 22U/mL(基準30~40)、C3 42mg/dL(基準52~112)、C4 12mg/dL(基準16~51)。

現時点で行うべき検査として適切なのはどれか。

肝生検
関節穿刺
骨髄穿刺
皮膚生検
骨シンチグラフィ

解答: d

115D54の解説

【プロセス】
①10年前に関節リウマチの診断済みで治療中
②1年前から多発関節痛が増悪
③発熱・皮疹(紫斑と潰瘍)・眼球結膜の充血
④白血球数とCRP上昇
⑤リウマトイド因子〈RF〉強陽性
⑥補体価低下
③は血管炎症状である。①の背景下で、②~⑥がみられた場合、悪性関節リウマチ〈MRA〉を考える。

【選択肢考察】
a 肝はMRAの病態の首座ではない。
b 関節液所見が得られるも、その結果を知ったところで何に役立つわけでもない。
c 骨髄はMRAの病態の首座ではない。
d 正しい。皮膚生検により、血管炎の病理像を示すことが診断に有用だ。
e 骨病変の広がりを評価することはできるも、MRAの診断にはつながらない。

正答率:70%

テーマ:悪性関節リウマチ〈MRA〉の検査

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