115D52

72歳の男性。腹痛と発熱を主訴に来院した。1か月前から食思不振と倦怠感を自覚し、3日前から腹痛と発熱が出現したため受診した。意識は清明。体温37.7℃。脈拍76/分、整。血圧126/78mmHg。眼球結膜に黄染を認める。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。心窩部に軽度の圧痛を認める。血液所見:赤血球408万、Hb 13.2g/dL、Ht 41%、白血球12,300、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白7.1g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン6.0mg/dL、直接ビリルビン4.7mg/dL、AST 247U/L、ALT 354U/L、LD 587U/L(基準120~245)、ALP 793U/L(基準115~359)、γ-GT 452U/L(基準8~50)、アミラーゼ158U/L(基準37~160)、尿素窒素33mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、血糖118mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 4.9mg/dL。腹部超音波検査で肝内胆管と膵管の拡張を認める。上部消化管内視鏡像(A)及びMRCP(B)を別に示す。

まず行うべきなのはどれか。

胃空腸吻合術
膵頭十二指腸切除術
腹腔鏡下胆嚢摘出術
体外衝撃波結石破砕術
内視鏡的胆道ドレナージ

解答: e

115D52の解説

【プロセス】
①高齢男性
②腹痛と発熱
③黄疸(直接ビリルビン優位)
④白血球数やCRP上昇(炎症所見)
⑤肝内胆管と膵管の拡張
⑥上部消化管内視鏡像ではVater乳頭部に表面不整の腫瘍
⑦MRCPでは胆管&膵管の拡張と共通管部分の陰影欠損
①⑥⑦より十二指腸乳頭部癌と考えられる。これによる閉塞性黄疸と胆管炎により②③④⑤が説明できる。

【選択肢考察】
a 癌などによる十二指腸閉塞がみられた際に行われるバイパス術。画像Aより現在閉塞は考えにくく、必要ない。
b 十二指腸乳頭部癌の根治術ではあるも、「まず行うべき」対応ではあるまい。
c 病変の首座は胆嚢ではないため、必要ない。
d 結石への対応である。
e 正しい。膵管と胆管の拡張があるため、まずはドレナージを行う。

正答率:91%

テーマ:十二指腸乳頭部癌にまず行うべき治療

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