115D43

78歳の男性。下部食道癌のため胸部食道全摘術を受けた。術後3日目から中心静脈栄養による高カロリー輸液が開始された。術後7日目の上部消化管造影で縫合不全を認めず、飲水を開始した。術後8日目に眼球結膜に黄染を認めた。体温36.5℃。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。血液所見:赤血球338万、Hb 12.3g/dL、Ht 37%、白血球7,600、血小板16万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン2.8g/dL、総ビリルビン3.2mg/dL、直接ビリルビン2.7mg/dL、AST 112U/L、ALT 98U/L、LD 324U/L(基準120~245)、ALP 407U/L(基準115~359)、γ-GT 92U/L(基準8~50)、血糖138mg/dL。腹部超音波検査で肝内に腫瘤性病変はなく、胆嚢は軽度腫大しているが胆管の拡張を認めない。

この患者の黄疸の原因として最も考えられるのはどれか。

溶血
急性胆嚢炎
閉塞性黄疸
転移性肝腫瘍
肝内胆汁うっ滞

解答: e

115D43の解説

【プロセス】
①胸部食道全摘術後
②術後3日目から中心静脈栄養による高カロリー輸液
③術後7日目に飲水開始
④術後8日目に眼球結膜に黄染
⑤総ビリルビン3.2mg/dL・直接ビリルビン2.7mg/dL
⑥胆嚢は軽度腫大しているが胆管の拡張を認めない
④⑤(直接ビリルビン優位)より胆道系のトラブルによる黄疸を考える。①②③からは術後1週間の絶食があったことが読み取れる。長期間経口摂取をしないと、胆汁排泄が滞り、うっ滞することが多い。

【選択肢考察】
a 溶血であれば、間接ビリルビン優位の上昇がみられる。
b 急性胆嚢炎であれば発熱や腹部圧痛がみられる。
c 閉塞性黄疸であれば超音波検査で胆管の拡張がみられる。
d 転移性肝腫瘍であれば超音波検査で肝内に腫瘤性病変がみられる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:78%

テーマ:術後絶食による肝内胆汁うっ滞性黄疸の診断

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