115D27

74歳の女性。胸部エックス線で異常陰影を指摘され来院した。3年前に直腸癌に対する手術を施行され、経過観察中である。昨年は異常を指摘されていない。胸部エックス線写真(A)及び胸部造影CT(B)を別に示す。

診断確定のために最も有用な検査はどれか。

胸部MRI
喀痰細胞診
腫瘍マーカー
気管支鏡検査
骨シンチグラフィ

解答: d

115D27の解説

【プロセス】
①高齢女性
②3年前に直腸癌
③胸部エックス線にて左下肺野に腫瘤影
④胸部造影CTにて左下葉にspicula・血管集束像・胸膜陥入像を伴う結節
②からは転移性肺癌かと思ってしまうが、多発している様子もなく、原発性が考えやすい。④から、原発性肺腺癌が疑われる。

【選択肢考察】
a すでに造影CTで十分な情報が得られており、MRIを追加で行う必然性がない。
b 細胞診ではそもそも確定診断とならない。生検による組織診が必要。
c 補助診断として有効であるが、確定診断には用いない。
d 正しい。気管支鏡にて病変の生検を行い、確定診断へとつなげる。画像BのCTにて病変が肺末梢にあるため、「気管支鏡で届くのか?」と悩み、細胞診で誤答した受験生が2割程度いた。気持ちは分からなくないが、細胞診で確定診断はできない。「おかしいなぁ」と思いながらも逃げの姿勢で細胞診を選んだ者が大半だったようだ。疑問を感じつつ、強引に消去法で選んだ選択肢は有意に誤答しやすい。そういう場合には一度リセットし、ゼロベースで再考すべきだ。
e 骨転移の評価に有効だが、肺癌自体の診断にはつながらない。

正答率:69%

テーマ:肺癌の確定診断に有用な検査

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