115A39

48歳の女性。ふらつきと複視を主訴に来院した。10日前に38℃の発熱と咽頭痛が出現したため自宅近くの診療所を受診し、感冒として投薬を受け、7日前に症状が軽快した。2日前からテレビの画面が二重に見えることに気付いた。昨日から、歩行時にふらついて転びそうになることが増えてきた。これらの症状が徐々に進行してきたため受診した。意識は清明。体温36.5℃。脈拍68/分、整。血圧120/68mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経診察では、両眼とも垂直、水平方向の眼球運動制限を認め、正面視以外では複視を自覚する。眼振は認めない。四肢筋力は正常だが、四肢腱反射はすべて消失している。Babinski徴候は陰性。膝踵試験は両側とも拙劣で、歩行は可能だが歩幅は広く不安定である。感覚障害は認めない。尿所見、血液所見に異常を認めない。

この患者と同様の発症機序と考えられるのはどれか。

重症筋無力症
多発性硬化症
進行性核上性麻痺
筋萎縮性側索硬化症
Guillain-Barré症候群

解答: e

115A39の解説

【プロセス】
①先行する発熱と咽頭痛
②ふらつきと複視が徐々に進行
③両眼の眼球運動制限
④四肢腱反射がすべて消失
⑤膝踵試験は両側拙劣・歩幅は広く不安定
③(外眼筋麻痺)、④(腱反射消失)、⑤(運動失調)ときたら、Fisher症候群の3徴である。①の前駆感染も矛盾しない。

【選択肢考察】
a 神経筋接合部が障害される疾患。
b 中枢神経の脱髄疾患。
c 大脳基底核や脳幹を中心とした変性疾患。
d 運動ニューロンが障害される疾患。
e 正しい。末梢神経の多発神経炎をきたす疾患。「Fisher症候群はGuillain-Barré症候群の亜型」などと言われることも多い。

正答率:90%

テーマ:Fisher症候群と同様の発症機序をとる疾患

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