115A30

67歳の男性。陰茎の腫瘤を主訴に来院した。1年前から陰茎の腫瘤を自覚し、9か月前から右鼠径の腫脹があり、その後疼痛も出てきた。下着に膿が付着し悪臭も伴うようになったため受診した。既往歴に特記すべきことはない。独身。喫煙は10本/日を40年間。飲酒は機会飲酒。身長170cm、体重59kg。体温36.5℃。脈拍76/分、整。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。亀頭部に腫瘤および右鼠径部に3cmの硬い腫瘤を認める。血液所見:赤血球463万、Hb 13.4g/dL、Ht 40%、白血球19,700、血小板59万。血液生化学所見:総蛋白8.1g/dL、アルブミン3.7g/dL、AST 15U/L、ALT 11U/L、尿素窒索14mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、SCC 19.9ng/mL(基準1.5以下)。CRP 2.3mg/dL。患部の写真(A)及び骨盤MRIのT2強調像(B)を別に示す。

最も考えられる疾患はどれか。

梅毒
陰茎癌
尿道癌
乳房外Paget病
尖圭コンジローマ

解答: b

115A30の解説

【プロセス】
①陰茎の腫瘤
②右鼠径部の腫脹と疼痛
③下着に膿が付着し悪臭も伴う
④喫煙歴
⑤亀頭部に腫瘤
⑥右鼠径部に3cmの硬い腫瘤
⑦白血球とCRP高値
⑧SCC高値
⑨画像Aにて亀頭部に結節状の腫瘤が指摘可能(包皮をみるに包茎と考えられる)
⑩画像Bにて亀頭部の腫瘤を指摘可能
①④⑤⑧⑨⑩から陰茎癌が考えやすい。②⑥は鼠径リンパ節転移であろう。③⑦から感染を併発していることが分かる。

【選択肢考察】
a 梅毒では硬性下疳(潰瘍)がみられる。
b 正しい。上記の通り。
c 画像Bからは尿道内腫瘍は指摘できない。
d 外陰部や肛門周囲にみられやすく、病変は扁平である。
e 鶏冠状の丘疹がみられる。

正答率:99%

テーマ:陰茎癌の診断

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