114D37

8歳の女児。腹痛のため両親とともに来院した。昨日の夕食後から上腹部痛があり、夜半に食物残渣を嘔吐し、今朝も痛みが改善しないため受診した。今朝の排便は軟便で色は茶褐色という。意識は清明。身長120cm、体重23kg。体温37.8℃。脈拍80/分、整。血圧100/72mmHg。呼吸数20/分。眼球結膜に軽度黄染を認める。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨満しているが肝・脾を触知しない。上腹部に軽度の圧痛を認め、腸雑音は減弱している。血液所見:赤血球467万、Hb 13.7g/dL、Ht 42%、白血球18,700、血小板30万、PT-INR 1.0(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、総ビリルビン4.7mg/dL、直接ビリルビン4.0mg/dL、AST 267U/L、ALT 270U/L、アミラーゼ539U/L(基準37〜160)。CRP 0.9mg/dL。腹部超音波検査で胆嚢の腫大を認めた。MRCPを別に示す。

診断はどれか。

膵石症
胆管癌
輪状膵
先天性胆道拡張症
急性閉塞性化膿性胆管炎

解答: d

114D37の解説

8歳女児の腹痛と黄疸。画像では胆道の拡張と膵胆管合流異常とが指摘可能。アミラーゼ上昇も膵胆管合流異常で説明がつく。先天性胆道拡張症の診断。
a 慢性膵炎に合併しやすい。膵石症単独では胆道の拡張や黄疸をみない。
b 胆管の癌は画像上指摘できない。
c 十二指腸閉鎖を合併するが、胆道拡張や黄疸は呈さない。
d 正しい。上記の通り。
e 意識障害や血圧低下、CRPの高度上昇といった激烈な症状を呈するはずである。

正答率:65%

テーマ:先天性胆道拡張症の診断

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