114D36

47歳の男性。両手指のチアノーゼを主訴に来院した。3年前から冬に外出すると両手の指先や耳介が白くなり、しびれを感じるようになった。これらは帰宅して温まると消失した。この冬、寒冷地に転勤になり、室外で引っ越し作業中に両手指のしびれの出現とともに指先の色が青黒く変色したため受診した。脈拍80/分、整。血圧132/80mmHg。眼瞼結膜は貧血様であり、眼球結膜に黄染を認める。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血3+。血液所見:赤血球252万、Hb 9.0g/dL、Ht 26%、白血球4,200(桿状核好中球2%、分葉核好中球70%、好酸球2%、単球5%、リンパ球21%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン3.2mg/dL、直接ビリルビン0.8mg/dL、AST 38U/L、ALT 30U/L、LD 980U/L(基準120〜245)、ALP 230U/L(基準115〜359)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖90mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 104mEq/L。

この患者で予想される検査所見はどれか。

網赤血球低値
寒冷凝集素高値
IgG型自己抗体陽性
血清ハプトグロビン高値
GPIアンカー蛋白欠損赤血球陽性

解答: b

114D36の解説

冬季や寒冷曝露で増悪する手指のチアノーゼ。間接ビリルビンとLD上昇を伴う貧血を認めており、溶血性貧血が考えやすい。冷式自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉であろう。冷式AIHAには寒冷凝集素症〈CAD〉と発作性寒冷ヘモグロビン尿症〈PCH〉とがあるも、後者は小児の感染後にみられやすく頻度的にも稀であるため、今回はCADと考えたい。
a 溶血性貧血では網赤血球が高値となる。
b 正しい。CADではその疾患名のとおり、寒冷凝集素が高値となる。
c CADではIgM型の自己抗体が陽性となる。参考までに温式AIHAとPCHはIgG型の自己抗体が陽性となる。
d 溶血性貧血では血清ハプトグロビンが低値となる。
e これは発作性夜間ヘモグロビン尿症〈PNH〉についての記載である。

正答率:90%

テーマ:寒冷凝集素症(冷式自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉)の検査所見

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